第3回 子育てワークショップ

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生演奏で親子のスキンシップ遊び

10月27日、日曜日。清々しい秋晴れの空の下、「<こどもちゃれんじ>25周年記念 おやこパーク」イベントが横浜で開催されました。会場となったパシフィコ横浜は、楽しげに手をつないで各ブースを回ったり、熱心にそれぞれのワークショップに参加したりする親子で大賑わい。そんな中、会場の一角では志村洋子先生の「始まるよ~!」の声が響き、「子育てワークショップ 生演奏で親子のスキンシップ遊び」がスタートしました。

「手をたたきましょう」「アイアイ」をはじめ、「パンダうさぎコアラ」など、誰もが知っているメロディーにのせて、親子一緒に歌遊び・手遊びで盛り上がりました。ピアノとヴァイオリンの素敵な生演奏にのせて、おうちのかたも、お子さんと一緒に思いっきり全身を動かしながら元気に歌っていました。

 親子関係をよりスムーズにするために、歌遊び・手遊びは非常に効果的です。歌遊び・手遊びをやる中で私がもっとも大切にしているのは、どうすればおうちのかたが子どもと一緒に楽しく参加してくれるか、ということです。
 例えば、私の歌につられてお子さんが楽しそうに歌い踊ってくれたとしても、おうちのかたが一緒にやってくれないと、お子さんはすぐに気づいて歌うのをやめてしまいます。子どもは音楽が大好きなので、音楽が始まると自然に歌い出し、体を動かします。そのとき、おうちのかたも楽しそうに一緒に歌い、手をつないだり体にタッチしてあげることが大切。こうすることで、親子の信頼関係がより強くなり、お子さんの心が安定していくのです。お子さんと向き合う時間だけは、思い切って携帯電話をオフにしていただけるとうれしいですね(笑)。

生演奏はリアルな空気振動。子どもにはそれを受け止める力がある。

 今日はすばらしい二人の演奏家がピアノとヴァイオリンで生演奏をしてくれました。生演奏のいいところは、リアルな空気振動で音を伝えられること。私たち大人は「音は耳で聴くもの」と思っていますが、そもそも音は空気を振動させて伝えているもの。特に小さいお子さんは耳だけでなく全身で振動を感じています。少し前まで羊水の中で揺られながらお母さんの声や外界の音を聴いていた子どもたちは、まだ音を振動として受け止める力があると思っています。生演奏のよさは、その振動の変化を全身で受け止められることではないでしょうか。

また、私は参加者のノリ具合や間合い、歌いかたを観察しながら歌い出しの音の高さやリズム、テンポをその都度変えています。生演奏だと伴奏者に合図して、参加者が歌いやすい高さにしたりテンポを変えることができますので、その回の参加者にもっとも適した調性とリズムで歌遊び・手遊びができます。それも生演奏のいいところだと思いますね。

大切なのはおうちに帰ってから。ぜひ親子で楽しんで!

 今日参加された皆さんは本当に楽しそうにやってくださって、私はとても感激しました。特にとても細やかにお子さんを見ながら一緒に遊んでくれる意欲的なお父さんも増えてきて、うれしい限りです。

 こうしたワークショップをやると、その場ではもじもじしたり、泣いて動きたがらないお子さんもいるのですが、実は、泣いていても彼らはよく音楽に耳を傾けているのです。私は必ず「おうちに帰っても一緒に遊んでね!」と声をかけますが、参加者のお母さんから「先生、あんなに逃げ回っていたうちの子、家ではあのときの歌をしっかり覚えていてノリノリで歌うんですよ。ビックリしました。」という報告を受けることも多いのです。ワークショップでは積極的にできなくても大丈夫。ぜひリラックスしたご自宅でトライしてみてください。
 こうして親子で顔を見合わせ、歌遊び・手遊びができる期間は、あとから振り返ればとても短く、宝物のように貴重な時間です。お母さん、お父さん、ぜひおうちでお子さんと一緒にやって、楽しく盛り上がってくださいね。

歌遊びで大切な3つのポイント

スキンシップでお子さんとふれあう時間は、お子さんの心の安定につながり、成長も実感できる大切な時間です。親子の信頼関係を深めるためにも、今この時間を大切にしましょう。
少しずつ言葉の理解が進む時期だからこそ、楽しめる歌も増えてきます。くり返し歌って遊ぶことで、歌詞やメロディーを覚えます。お子さんが好きなおなじみの歌をくり返して遊びましょう。
歌遊びはテンポを変化させることで楽しさが増します。まずはお子さんの歩くテンポや動作のスピードに合わせてゆっくり始め、だんだんのってきたら少し早めに歌ったり動いたりしてみましょう。

  • 小さな子どもが生演奏を聴ける機会は少ないので、親子ともに楽しかったです。動きが加わると子どもは本当に楽しそうにやりますね。「ぞうきんのうた」はどういうふうにやるのか楽しみにしていましたが、子どもを絞ったり、パンパンしたりするやり方がわかったので、家でもやってみます。
    (M・Wさん)
  • 普段から歌や踊りが大好きな子なので、こうした会場でどんな反応をするか楽しみにしていました。歌に合わせて手遊びをするのをとても楽しんでやっていましたね。楽器をいろいろに弾き分ける「山の音楽家」を一生懸命に聴いていて、特に楽しかったようです。
    (S・Nさん)
  • 最近は歌遊びや手遊びをやっていなかったので、子どもだけでなく私たち親にとっても新鮮で楽しめました。「ぞうきんのうた」の「チクチク…」縫うところで子どもがすごく喜んでいましたね。家に帰ってやってみようと思います。
    (M・Sさん)
全体監修 志村洋子(しむら ようこ)先生
志村洋子(しむらようこ)先生
東京藝術大学声楽科専攻卒業。同大学院修了。二期会会員。現在、埼玉大学教育学部教授。博士(教育学)。専門は乳幼児音楽教育学。著書には『赤ちゃん学を学ぶ人のために』共著(世界思想社)などがある。
ピアノ演奏 浜中康子(はまなか やすこ)先生
浜中康子(はまなか やすこ)先生
桐朋学園大学ピアノ専攻卒業。東京藝術大学大学院修了。平成12年度文化庁派遣芸術家在外研修員として渡米。国立音楽大学、桐朋学園大学院大学、埼玉大学ほかで後進の指導にあたる。東京バロックダンス研究会主宰。
ヴァイオリン演奏 伊藤誠(いとう まこと)先生
ヴァイオリン演奏 伊藤誠(いとう まこと)先生
東京藝術大学ヴァイオリン専攻卒業。同大学院修了。レ・カマラード主宰。バッハ・コレギウム・ジャパン、明治学院バッハ・アカデミー、「音楽の贈りもの」(埼玉大学主催)等の演奏会に出演。埼玉大学教育学部教授。

(構成・文 永田久美子)